不調

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「引っ越しはそんなに大変だったかい?」 「まぁ……でも、あのコマンドが聞こえなくなったのは大きいです」  顔色を確認されて僕はそのままイスに座ってされるがままになる。 「うん、前はほとんどサブドロップに陥ってたからねぇ」  カタカタとキーボードを叩いて先生はこっちを向いた。   「前回ほどではないけど、だいぶ辛そうに見えるよ?今日はどうする?」 「どなたかいらっしゃるんですか?」  聞くと先生は手元にあったタブレットを触り始める。 「んー……またすぐ来れる?」 「来週月曜から懇談会が始まるんで……」 「それなら今日は金曜日だし……ちゃんとシようか?」  さすがに毎年のことでもう先生も慣れているらしい。  懇談会……俺みたいな童顔女顔の教師がスーツを着てビシッとしたところで保護者はナメてくることが多く、ストレスはかなりかかる。 「今日は車、だよね?」 「はい」 「まぁ、まだ時間も早いし少し休んでいけばいい……かな?」  頷くと先生は顎を触りながらタブレットを操作して立ち上がった。 「ハルがもうすぐ来るから……準備するかい?」  このクリニックで一番踏み込んだプレイをするセラピストの名を告げられてドクンと心臓が跳ねる。  Sub欲が強いのに抑制剤もあまり効かない僕はこうやってクリニックに通ってセラピストの手を借りて欲を発散していた。
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