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「なんで、俺んじいちゃんやなかと?」
「何いってんだ。蓮水んじいちゃんやろ。俺は大切な孫やて思うとる」
「ばってん、血がつながっとらんば、本当のじいちゃんやなかやろ?」
じいちゃんは、しばらく考えてから答えた。
「なら、わかと結婚するしかなかね?」
「あんね、はすみくんは、わかばとはけっこん………?は、したくなかと思うよ」
いなかったはずのわかの声が突然聞こえた。歴史の解説書を持って、居間にやってきたところだったらしい。とてつもなく動揺して、俯くしかなかった。
「なしてや?」
「うーん……だってはすみくんは、わかばのこと好きじゃなかばい。けっこんは、好きな人としかでけんけん、やおいかん(難しい)とおもう」
わかは気づいていたのか。
それでも、わかは気にしてはいない様子で、いつも俺の隣にいたらしい。それに気づいて罪悪感に苛まれる。
「……わかは、蓮水んこと好きやなかとか?」
「わかばは、好いとっと。ばってん、はすみくんはわかばとおるん、そぎゃん好きじゃなかっておもうとる。
ばってんよかと。はすみくんは、家族と同じやけん、わかばだけ好きでよかと」
俺の気持ちを、わかはなんとなく察していたらしい。それなのに、家族と思ってくれていて、自分が恥ずかしくなった。
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