わたしの自慢の幼馴染

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「蓮水くんはこぎゃんこと興味なかね。ばってん凄かことばい?神様に選ばれた人しかこぎゃん声ば、かからんて思うし」  「わかは、俺がモデルばしたら嬉しか……?」 「嬉しか……かな?ていうか、私はやるべきやて思うし、やってほしかね。蓮水くんはかっこよかけん、きっと素敵なモデルさんになるばい」 「………ふーん、そうか」  気のない返事だったから、きっと断ると思っていたのに、彼は次の日スカウトさんに電話をかけてモデルの仕事を始めていた。瞬く間に雑誌にのる回数が増え、蓮水くんが世間に知れ渡っていった。  キラキラ輝く世界だけど、才能だけじゃなく、礼儀と努力も大切で、蓮水くんは努力を惜しまず直向きに頑張っていた。だから、活躍する度に嬉しくて仕方なかった。     私は雑誌もテレビも、歴史ものしか興味がないけど、蓮水くんが出るファッション雑誌はすべて購入していた。彼の活躍が純粋に嬉しくて仕方なくて、背中を押して良かったなと実感する。  それに、蓮水くんの仕事が忙しくなっても、夜ご飯を一緒に食べてお互いに好きなように過ごす関係は続いていたから、遠い存在と思うことはなかった。  大学を卒業すると、蓮水くんはもともと忙しくしていたモデルの仕事だけではなく役者業に進出し、今に至る。  それでも幼馴染の関係はそのまま続いている。 
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