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果たしてショーウインドウの中は笹が舞っていた。その薄い緑の隙間から色々な形の鏡が大小銀色に光っている。
「星、かな? でもひねりがあっていいですね」
丁度目の前には長方形の四隅を丸く切り取ったような形の鏡がのぞいている。
「面白いよな」
「ですね。夏もいいかも」
何度も頷きながら見上げれば、瀬名さんの口角が上がっていた。
「まあ、それもそうだけど。今、言ったのは俺たちのこと」
「俺、たち?」
だから意味を載せるなって。
「うん。だって七年後にこうして一緒にまたショーウインドウ眺めてるなんてさ、面白くない?」
「え、ああ、確かに」
「七年前で、それから三年前、で、今、ですかね」
上ずった私の返事に、瀬名さんは余裕でニッコリと微笑み続けている。
「そ、そう言えばどういう訳か、あの後来ませんでしたね、ここ」
三年前のイブは、タマネギでのカレーの後、ここに来た。でも二年前と一年前はそれぞれの職場の忘年会がなぜかその日にぶち当たり、来ることが出来なかった。
「今年はどんなのになるんだろうな」
ショーウインドウのガラス全部を眺め回す瀬名さんに倣って、私も首を左右に動かす。瀬名さんほど身長があるわけじゃないから結構厳しい。
すると、突然ピリッとした激痛が走った。
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