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「ヒトラーが軍需物資を届けて欲しいってお願いしてきたぞ」
「ヒトラーが? で、何を届けて欲しいって?」
「メッキに使う錫、タイヤに使う天然ゴム、あと、魚雷の技術が欲しいってさ」
大日本帝国海軍の軍令部では、ヒトラーが提案してきた技術交換の話題でもちきりだった。
「ふ~ん。で、見返りにヒトラーは何をくれるんだ?」
「対空レーダーや暗号機、ジェットエンジンの設計図、あと、潜水艦もくれるってよ」
「Uボートをくれるってすごいな。ドイツの潜水艦は世界一だからな。ところで、ジェットエンジンって何だ?」
「ジェットエンジンってのは、ものすごい速さで飛べる飛行機のエンジンらしい。時速800km以上出せるらしいぞ」
「本当かよ? そんなエンジン載せた飛行機ができたら世界情勢は一変するな」
「あぁ。そんな技術を提供してまでも、ドイツは南方資源が欲しいらしい」
「それは分かるよ。インド洋ではイギリスの艦隊が海上封鎖して、ドイツの商船は全部沈められてるからな。戦争を続けるには資源が必要だ」
「まあな。だから、我々もアジアを支配して資源を確保したわけだ。資源がないと、米英とは戦えないからな」
「でも、どうやって遠いドイツまで資源や技術を届けるんだ?」
「ヒトラーは潜水艦でのお届けを要求しているらしい」
「なるほど。普通の艦艇では、すぐに敵に見つかって沈められる。潜水艦ならなんとかなりそう、というわけか」
「それでだ。軍令部長とも相談したんだが、潜水艦『伊92』にドイツまでお届けに行ってもらおうと思っているわけだが」
「艦長は誰だ?」
「近藤忍中佐だ。インド洋での通商破壊任務の経験がある。適任だ」
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