ヒトラーからもらった勲章

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 大西洋を南進中、敵の航空機に発見された。  どうやら、伊92の行動は筒抜けであったようだ。  待ち伏せされていたのだ。 「急速潜航!」  敵の対潜哨戒機が迫ってくる。  ここで沈められては何のための遣独作戦であろう。  絶対に生き残らなくては。  敵機はソナーを投下。  海中の音を聴き取って、伊92の居場所を探ろうとしてくる。  潜水艦の安全深度は100mであるが、120mまで潜行し、沈黙を保った。  敵のソナーに聴取されないよう、エンジンやモーターはすべて停止。  とたんに、艦内の室温が上昇していく。  敵機が投下した爆雷が艦のすぐ近くで爆発し、大きく揺らぐ。  穴が開けば、生存は絶望的である。  何度も聞こえる爆発音に戦々恐々としながら、敵機が去るのを待つ。  室温計は40℃を差している。  湿度は90%。  吹き出す汗が床を濡らしていく。  二酸化炭素濃度は4%を超えた。  数人が気絶し、軍医の元に運ばれていく。  やがて、爆発音は聞こえなくなった。  敵機が去ったものと判断した艦長は、浮上命令を出す。
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