ヒトラーからもらった勲章

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 届けたアジアの軍需物資はドイツに大いに感謝された。  魚雷の設計図や、潜水艦に搭載可能な航空機である零式水上偵察機などがドイツ軍に供与された。  また、Uボート乗組員として届けられた者たちは、さっそく操縦訓練を受けることとなった。  訓練後、ヒトラーから贈与されたUボートは「呂501」と命名され、日本を目指して出港した。  その他、日本はドイツからウルツブルクレーダーを供与され、その運用方法を学んだ。  ドイツ製の機関銃や暗号機、医薬品、レントゲン装置、ベンツ社の舟艇エンジンなども、伊92に積み込まれた。  近藤艦長たち将校は、ベルリンに招待され、ヒトラー総統と面会することとなった。  一介の将校である身分の者が、他国の総統と面会するなどということは異例のことであり、大変名誉なことであった。  前人未踏の偉業を成し遂げた、同盟国日本の潜水艦艦長に、ヒトラーは勲章を授与した。  その勲章は白色の十字章であり、ナチスドイツにとって政治的・軍事的・経済的な協力者に対して、外交上の業績を表彰する勲章であった。  また、ベルリンでは軍事機密である「ジェットエンジンの設計図」も日本軍に提供された。  届けたい、この軍事機密。  旅路はまだ半分である。  ドイツから供与されたものを日本に持ち帰ってこそ、作戦は完了する。  伊92は日本に向けて出港した。
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