ヒトラーからもらった勲章

1/16

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「ヒトラーが軍需物資を届けて欲しいってお願いしてきたぞ」 「ヒトラーが? で、何を届けて欲しいって?」 「メッキに使う(すず)、タイヤに使う天然ゴム、あと、魚雷の技術が欲しいってさ」  大日本帝国海軍の軍令部では、ヒトラーが提案してきた技術交換の話題でもちきりだった。 「ふ~ん。で、見返りにヒトラーは何をくれるんだ?」 「対空レーダーや暗号機、ジェットエンジンの設計図、あと、潜水艦(Uボート)もくれるってよ」 「Uボートをくれるってすごいな。ドイツの潜水艦(Uボート)は世界一だからな。ところで、ジェットエンジンって何だ?」 「ジェットエンジンってのは、ものすごい速さで飛べる飛行機のエンジンらしい。時速800km以上出せるらしいぞ」 「本当かよ? そんなエンジン載せた飛行機ができたら世界情勢は一変するな」 「あぁ。そんな技術を提供してまでも、ドイツは南方資源が欲しいらしい」 「それは分かるよ。インド洋ではイギリスの艦隊が海上封鎖して、ドイツの商船は全部沈められてるからな。戦争を続けるには資源が必要だ」 「まあな。だから、我々もアジアを支配して資源を確保したわけだ。資源がないと、米英とは戦えないからな」 「でも、どうやって遠いドイツまで資源や技術を届けるんだ?」 「ヒトラーは潜水艦でのお届けを要求しているらしい」 「なるほど。普通の艦艇では、すぐに敵に見つかって沈められる。潜水艦ならなんとかなりそう、というわけか」 「それでだ。軍令部長とも相談したんだが、潜水艦『伊92』にドイツまでお届けに行ってもらおうと思っているわけだが」 「艦長は誰だ?」 「近藤忍(こんどうしのぶ)中佐だ。インド洋での通商破壊任務の経験がある。適任だ」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加