流青雨(りゅうせいう)

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 今日、私が祈りをささげるのが、絶え間なく観測できる流星雨ではないことを願う。地球に降り続ける欠片に、何のありがたみがあるだろう。選ばれなかった人たちを見捨てて異星へ逃れた、航空機の残骸なんて、願いというよりは、恨みを向けたくなる代物だ。  また一つ、遠方から無力な私をあざ笑うかのように、薄黄色の炎が宇宙へ上がっていく。エンジン技師の妻を連れ去ったのと同じH6-A型ロケット。ため息をついて、息子の手を引く。夜気のみならず、外気は押並べて体に悪い。 「もう寝ようか」明日になれば、ランダムに送付されるという、招聘状(しょうへいじょう)が届いているかもしれない。天界へのパスポートが、ポストに届けられているかもしれない。
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