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変なやつ。
高校に入り、もう二年。
噂では聞いてはいたが、クラスメイトに妙な奴がいる。
色白で華奢、スラ、とした細く、長い手脚、サラサラなストレートの肩下くらいまである黒髪。
めっちゃ可愛い。
でも全然、笑わん。常に無表情。
だから、近寄りがたく、美人な感じもする。
周りから浮いていて、いつも1人でヘッドホンで音楽聴いてる。
クラスメイトの自分を俺呼びする、見た目めっちゃいいのに、すげー男勝り...いや、男みたいな?
「あー?なに?うっせーな」
斜め前の席に座っていた、その謎のイケメンなのか可愛いのかなんなのかよく分からん、宮村葉月がヘッドホンを外し、まるで男か、な座り方だってのに、話しかけられて、めっちゃウザそう...。
「知らねーよ!つーか、今、俺さあ、話しかけられたくないんだが!?音楽聴いてるっつーの!わかんねーの、てめぇ」
....めちゃくちゃ見た目は女なのに、なんなんだ。
なんだ、アレ、不可解な人物だ。
でも、なんか気になる...。
なんでだ?見た目が可愛いから?
見た目が可愛いのに、なんかイケメンみたいな?
男友達に良さそうな?
....俺もまた、よくわからん、不可解な物体によくわからん感情を抱いてた。
「なあ、なんの音楽聴いてんの?」
ヘッドホン付けて音楽聴いてる宮村を頭上から見下ろして尋ねてみた。
....なんも答えない。
「おい、なあ、なんの音楽....」
ダン!と音しそうな感じで、机に手ついて唐突に立ち上がった。
かと思ったら背後にいた俺を振り返った。
うっわ、可愛いな。
顔、ちっさ。瞳は適度な大きさで、ちょっぴり切れ長なんだな、鼻筋、通ってて、顔整ってんな。
パーツとかもすげー、美少女じゃん....。
「てめぇ、マジ、なんなわけ!?
話しかけんな!ヘッドホンしてんの、見えねーの!?」
襟首、掴まれ吠えられた。
うっわ、めっちゃキレた顔....可愛いはずなのに...イケメンじゃね?
それが俺、園田拓也と、この訳のわからん謎のイケメンな美少女、宮村葉月とのきっかけで、始まりだった。
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