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終わりはあっけなかった。
軍警の正式通達が来る直前に、ローズ・マダーの元に極秘で通信が届いた。それは彼が中央に居た時の友人からだった。
クリムゾンレーキはローズ・マダーがその知らせを受け取った頃、既に包囲されていた。空の防衛ラインは殆ど丸腰に近かった。軍警は難なく惑星全体に攻撃を宣言した。
当時の騒乱の首脳陣は、まだ若い士官と、それに無理矢理従わされていた老いた将官ねという図式だった。
ローズ・マダーは首謀者の一人ではあるが、リーダーという訳ではなかった。所詮彼は大尉に過ぎなかった。
どうしたものか、と引きずり込まれた将官は自分達の半分くらいの年齢の士官達にだらだらと脂汗を流しながら訊ねた。
「いい考えがあります」
ローズ・マダーはこの時提案した。
「首謀者を、軍警に差し出すのです」
基本的に善良な、地元軍の将官は眉をひそめた。そんなやり方は、彼らの流儀には合わないのだ。
だが、軍警に攻撃されてクリムゾンレーキが焼け野原になるのは困るし、だいたい彼らも、命が惜しかった。
「スケープゴートか」
「そうです」
「だが誰が居る? 貴官に心当たりがあるのか?」
「はい」
ローズ・マダーは迷わず一人の部下の名を出した。
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