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「少し前に、『伯爵』の方のルートを通じて、惑星『クリムゾンレーキ』にウチの手の者を入り込ませたんだけどさ」
「クリムゾンレーキか?」
「知ってるの?」
「一応な」
一応どころではないが、取り立てて言う程のものでもない。
中佐はティーポットを取ると、残っていた茶を全部自分のカップへ注いだ。
「止めとけば? もう苦いよ」
止めまではしない。
中佐は渋く苦く冷めた茶をぐっと一息に飲み干した。
呆れた様に眺めつつ、連絡員は続ける。
「元々あそこって、何年前だったかな? 動乱が起こった所だろ?」
「らしいな」
「そうすると、割とあそこの人間自体、そういう体質があるらしいってことかな? 気質かな?」
中佐はそれには答えず、口直しとばかりにシガレットを取り出すと、面倒くさげにポケットを探った。だがライターが出てこない。
休暇中なのだ。いつもの軍服のズボンではない。ち、と彼は舌打ちをする。
キムはほい、と自分のライターを放った。黙ってそれを受け取り中佐は火を点けた。
「成る程まあ火が点くのも早いと思ったのよ」
「ふん」
「ところが火の回りが早すぎた」
「と言うと?」
中佐は目を細め、煙を大きく吐き出した。
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