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「おそらく君はここに来てまだ日が浅いのだろうが、もう少し上下関係というものに気を付けた方が良い。ここは卒業までは爵位に関係なく学ぶ場所だ。これ以上サムを馬鹿にすると僕が許さないよ」 「す、すみませんでしたっ」  男の子がうなだれながら去っていく。その後を数人の子がついて行っていた。きっと彼は位の高い家柄だったのだろう。すでに取り巻きができてるようだった。 「叱りつけるつもりはなかったんだが。変な噂がたってたんだね?」  振り向くとサミュエルが口元を隠していた。耳が真っ赤になっている。 「いや……そうか。噂か」  僕の言葉にハッとしたように今度はサムの顔が青くなっていく。 「サムどうしたのさ」  じっと僕の顔を見つめるとそのままサムは一人で部屋に帰って行ってしまった。  なんとなくその日以降サミュエルとの距離がぎくしゃくしてしまった気がする。僕は何かいけないことを言ってしまったんだろうか?  ◇◆◇  なんということか。俺は浮かれていたんだろうか? 俺といることでアルの評価が落ちているのかもしれない。元々人と距離を置いていたせいで俺の評判はあまり良くない。皆俺の容姿を見ると怖がって近寄らないからだ。自分から話しかけるタイプでもないし、剣術の腕が上達すればそれでいいと思っていた。だがアルはそんな俺の事をまっすぐに見てくれて他と変わらず接してくれる。アルの存在が嬉しかったのだ。  それに俺の事を信頼してるとそれも好感が持てるだなんて言ってくれるなんて。ヤバい。自分本位に暴走してしまいそうだ。アルの顔を見ると胸が苦しくなって何を言って良いかわからなくなる。顔に出ない事だけが幸いだ。俺はうぬぼれてるのだろうか? この気持ちをどう表していいのかがわからない。  義母たちの事もある。俺が誰かとつるむよりも孤独でいる方があの人たちには都合が良いのだろう。もしも俺に向けられていた毒牙がアルにも向けられたら? そんなのは耐えられない。   やはりアルとは少し距離を取った方が良いのかもしれない。 
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