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6-2
ぎゅっと抱きしめられてその胸にすっぽりと収まってしまった。やはり体格差がありすぎる。身近にいると筋肉量の違いがわかりすぎた。
「だが、俺が傍に居るとお前の評判がさがってしまうぞ」
「評判? つまらない噂のこと? 僕が気にすると思うのかい?」
「ふっ。そうだな。お前はそういうやつだった」
サムが優しく僕の背中をさする。まるであやされてるようだ。
「サムの腕の中は安心するんだ。発作が起きた時ずっとこうしてくれてただろ。とっても暖かくて居心地が良いいんだ」
「そうか」
「うん。だからもう無視しないでくれ」
「だが俺はお前が思う程信頼できる奴ではないぞ」
「サムはサムだよ。そのままでいてくれたらいいんだ」
「わかった。でも後悔するなよ」
「ふふ。しないよ。……約束……やぶらないで……よ」
久しぶりに泣いたせいなのか。ホッとしたせいか僕はそのまま睡魔に襲われてしまった。
「アル? 眠いのか? まいったな。俺がアルから離れたくなくなるから困ってるんだが……」
サミュエルが大きなため息をついた。
翌朝息苦しさに目覚めるとサミュエルに抱き込まれていた。
「ほぇ? なんだ一体? 何がどうなって」
寝ぼけた頭で状況判断ができずあわあわしているとサミュエルの瞳が開いた。澄んだ青い瞳に見つめられて時が止まる。
「綺麗な瞳……。青空みたいだ」
「親父譲りだ」
「そうなんだ」
「肌は母親譲りだそうだ」
「情熱的でエキゾチックだね。僕は白いからひ弱に見えるんだ。サムのように勇敢な人に良く似合う肌だ」
「俺を買いかぶり過ぎだ」
「僕はサムがいいんだよ」
サミュエルが片手で顔を覆った。
「お前は俺の心臓をつぶす気か?」
何を言ってるのだ? 抱き込まれて苦しいのは僕なんだが? サミュエルの目が獰猛になった気がする。
「ったく。この体勢で可愛い事ばっかり言いやがって」
ぎゅっと抱き寄せられて息がかかるほどの距離になる。これはちょっと近すぎるのでは? このままだと……。
「逃げないのか?」
なんで逃げるんだ? やっと捕まえたのに。
「逃げたりはしない」
「そうか」
サミュエルはそのまま僕の唇を奪った。
え? これって。キスしちゃったってこと?
「……ふぁ、ファーストキスだったんだ」
「それは好都合」
「なっ! ばっ! 離せ!」
僕はジタバタ暴れてベットから抜け出した。何を飄々と言ってるんだ。バカサミュエル! こんなっ恥ずかしい! 顔が熱くなってくるのがわかる。きっと僕の顔は真っ赤になってるのだろう。
「嫌だったか?」
「い、嫌じゃない! 馬鹿っ。聞くな!」
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