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 母さまの話によると数年前から王都に反乱分子が潜んでいることがわかったようだ。以前隣国との闘いの時にも参戦していた生き残りがリーダーとなり暗躍しているらしい。その資金源を調べているとなんとその一部がこの辺境地から流れている可能性が出てきたというのだ。そして近いうちに反乱を起こす用意もしていると。そこに今回のノワールの話がでてきて合致したらしい。 「大変じゃないか……まさかノワール伯爵がその仲間?」 「……まだそこまではわからないが……我が領の品がその資金に充てられてたかも知れぬ」  サミュエルがつらそうだ。でも領主になる前の話だからサミュエルが責任を感じなくてもいいのに。   「そこでだ。王都から騎士団の要請でノワール領を通らない別ルートを探して俺がここまで来たのだ」  これまで山を越える遠回りのルートしかなかったが森林を抜けるルートを見つけたのだそうだ。 「え?フレッド兄さんって騎士団だったの?」 「ああ!この度団員試験に合格したのだ!これがその最初の仕事なのだ!」 「そうなんだ!おめでとう!」  フレッド兄さんは容姿は父さま似だけど、気が強いところは母さまに似たから騎士に向いてると思う。母さま自身も剣の使い手だったらしいし。 「今まではノワール領を通るときに通行料として金品を渡さないといけなかったようだが、先日の測量で実際にはその地域はサミュエル領だと判明させた。だからもう小銭を稼ぐ事も出来ないはずだ」  判明させた?それってまさかノワール領を縮小してサミュエル領に……? 「アルベルト。深い詮索はするな。すべては王が決めたのだ」 「はい。でも、それならなぜ兄さんは別ルートで来たのですか?どうしてノワールを捕まえないの?」 「決め手がないのだ。だからノワールたちに気づかれない様に別ルートで来た。それに捕まえるなら一網打尽にしたいのだ」 「……アル。ノワールだけを捕まえても解決にならないところまで来ているのだ」 「そうだったのか」 「さあさあ、ということで私の出番でしょ?」 「は?なんで?どうしてそうなるの?」 「だって、皆、顔を知られてるじゃないの!うふふ。こういうの前からやってみたかったのよ!」 「だっ……だめです!義母さまはアルにそっくりではありませんか!」 「女性には化粧というものがあるのよ。化粧はね、美しくなるだけじゃないのよ。化けるのよ」 「そうなると思ったんだよ!俺もう知らないぞ。父上には報告できそうもない!」  フレッド兄さまが頭を抱える。 「ふふふ」  母さまがとても嬉しそうだ。いやでも、ちょっとその気持ちは僕にもわかる。そっか僕も母さまの方に参加すればいいのか……。
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