疑惑と遭遇

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「露木君は、なんで此処に?」 「ここが家だから」 「へっ?」 思わず変な声が出てしまった。てっきり、お前には関係ないとか言うと思っていたのに、まさかの自分の家発言。 いやいや、そんなまさか。 こんなセキュリティもクソもないような所に、住んでる人がいた事にもビックリしたけど、それがクラスメイトだなんて誰が思う? でも、彼がそんな冗談を言うなんてとても思えない。 「マジで?」 「キミに嘘吐いて僕に何のメリットが?」 ですよねぇ。 心底冷え切ったような眼差しを向けられて、俺はうっと言葉を詰まらせた。 「でも、困ったな……。通帳も全部家の中だったのに……」 本当は今すぐにでも戻りたいし、出来れば今日は一人になりたい。でも、目の前で、途方に暮れた顔でため息を吐く彼を見てしまった以上、見捨てる事なんて俺には出来ない。 「あ、あのさ……。鎮火するまでまだ時間掛かりそうだし、よかったらウチに来ないか?」 「え?」 え? って。そんなに意外な提案だったのだろうか? 一瞬何を言われたのかわからないと言わんばかりの顏で俺を見た後、露木君は少し考えるように視線を彷徨わせた。 やっぱ、迷惑だったかな。そういや俺、嫌われてるみたいだし。いきなりうちに来るか。なんて言われてもそりゃ困るか。 「別に嫌なら無理にとは言わないけど……」 「いや、行く」 少し早口でそう答えて、露木君は地面に置いてある鞄を肩に掛け直した。 そこは素直に来るって言うんだ。 俺は思わず心の中で突っ込んでしまった。 だって、まさかOKされるとは思わなかったから、逆に俺の方が拍子抜けしてしまう。 でも、言い換えたら嫌いな俺に頼らなきゃいけない程、困ってたって事だよな。  それもそっか。朝まで自分が生活してた家が突然全部燃えて無くなっちゃうんだもん。きっと、藁をもすがる思いってやつなんだろう。
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