夢か現か

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夢か現か

あぁ、今日もなんだかんだで色々あったな。 夕食後、露木君にお風呂でゆっくりするように言って、適当に見繕った着替えを脱衣所に置いた後、ソファに座った所までは覚えている。 少し高めの天井を見つめながらカラオケ店での篠田と紗季の会話を思い出しては、やるせない思いに駆られ幾度となく溜息を吐いた。 流石に友人だと思っていた相手からあんな仕打ちをされたのは初めての経験だった。自分の何が悪かったのだろう? 俺は二人の機嫌を損ねるような事をしたのだろうか? いくら考えてみても分からない。 そうこうしているうちに、いつの間にか転寝してしまっていたらしい。ふと目を開けると、何故かNaoがいた。 隣に座って肩で俺の身体を支えてくれている。 「泣いてたみたいだけど、何か辛い事あったのか?」 長い指先が俺の目元に触れて、涙の痕を拭うようにすっと撫でられる。 なんでNaoが此処に? ショックな事が重なり過ぎてとうとう幻覚が見え始めたのかな。俺。 「本物?」 「なに寝惚けてるんだ。ほら、ベッドで寝ないと風邪ひくぞ?」 耳に良く馴染んだ低めの声。しっとりと濡れた髪。香りたつ甘い香り。 あぁ、きっとこれは夢だ。 ここ数日、辛い事が立て続けに起こったから、自分に都合のいい夢を見てるだけだ。 じゃないと、だって、Naoが俺の家に居るはずが無い。 「なんか、もうこのままでいいや。動くのが面倒くさい」 ズルズルと体を倒し、Naoの膝を枕代わりにして横たわった。憧れのNaoの膝枕なんて、贅沢以外の何物でもない。
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