大切な日に

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 老婆は消え、驚くウドの目の前にはクレオノラが立っていた。 「よくやったわ、ウド」    クレオノラは優しく微笑んだ。 「え? 先生? どういうこと?」    ウドは困惑した表情で尋ねた。 「実は、これは特別な補習授業。校長先生に相談して、あなたに足りないものを教えるために計画したの」 「特別な補習授業?」  ウドは眉をひそめた。 「そう。サプライズの補習授業なの。うちの学校は教育方針が独特でしょ? たまに教師が変身魔法を使って、こういう変な授業をするの」    クレオノラは笑った。 「へえ」 「あなたに足りなかったのは、思いやり。成績だけじゃなく、心の優しさも魔法使いには必要なの。だから、私が老婆に変身して、あなたに学ばせたの」    ウドは言葉を失った。 「最初は、随分と冷たかったけれど、最後には、金貨を返そうとしていたね。先生、嬉しいな。さあ、今から学校に行って試験を受けましょう」 「でも、何時間も金色の薬草を探していたから…試験の時間は、とっくに過ぎちゃってますよね…」    ウドは苦笑いした。 「大丈夫。特別な事情がある場合、試験時間を調整できるのよ。事前に、校長先生には言ってあるから大丈夫。どうやら、あなた、校長先生に期待されているみたい」 「えー! 嬉しいな。先生…ありがとう」  ウドの目に涙が浮かんだ。ウドとクレオノラは、魔法学校に向かって並んで歩いた。 「忘れないで。一流の魔法使いは魔法の力だけでなく、思いやりの心も持っているの」     クレオノラは真剣な表情で言った。 ウドは頷いた。    やがて、二人は魔法学校の門をくぐった。 魔法の力と思いやりの心。その両方を兼ね備えた魔法使いになろうとウドは決意した。        (了)  
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