第1章 運命を記すもの

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Side of 韓〈=戦国七雄・最弱国〉 韓は魏や趙などと比べても 軍勢の数もさる事ながら… パッと名前が浮かぶようなキラキラした武将もおりません。 韓王・安「何とか出来ぬのか? 我が国にも李牧や慶舎と言った知恵者がいたなら…」 そんな韓が得意な戦略はやはり… 李蟬(りせん)「毒くらいしか勝てるものはございませぬ…。毒キノコでも送りつけますか?」 李蟬(りせん)…韓の大将軍であり 毒について研究し尽くしたThe毒マニアで…韓王・安の喧嘩相手である。 韓王・安「嬴政宛の小包に毒キノコをたんまりと詰めて…って馬鹿!誰が敵国からの荷物を受け取るか!」 残念ながら…子どもの喧嘩みたいな事を口走っている困った王様が韓の王・安でございます。 禮惷(らいしゅん)「真面目に考えませんか?韓が滅びても良いならこれ以上何も申しませんが…」 禮惷(らいしゅん)…韓の軍師で 大将軍である李蟬が部屋に籠もって毒の研究に勤しむ毒マニアのため大将軍代理も兼務している働き者である。 韓王・安「良いわけないだろ、馬鹿!」 軍師と大将軍代理を兼務している 禮惷に対しても馬鹿を連発する韓王・安に対して禮惷は… 禮惷「馬鹿は良い言葉ではありませぬ。毒の使い手である韓の国頂点に君臨している以上きちんとした言葉を使って頂きたいのですが…」 頭を抱えておりました。 但し… 李蟬「毒の使い手…と言うより毒マニアな俺がいたからそこにたどり着いたと言うべきでは…?」 研究熱心?な毒マニア・李蟬の言葉は  韓王・安には届きません…。 何故ならば… 韓王・安「何か秘策はないのか? 王騎なら1番に我が国を狙うのではないのか?誰か李牧を連れて参れ!」 戦国七雄の中で1番国力が低下している事もあり韓王・安は何とも言えない焦りを感じておりました。 李蟬「李牧は我が一族の者ですが… 戦争孤児で家族を魏に討たれてしまい趙へとたどり着いたと聞いています。」 李蟬と李牧は祖父の祖父の祖父が 同じと言うだけで…極めて遠縁なのですが… 韓王・安「…李蟬、李牧と話を付けては貰えぬか?親戚関係ならば簡単ではないのか?」 藁にも(すが)る思いである韓王・安は目を輝かせながら李蟬を見つめておりましたが… 禮惷「残念ながら大王様、李蟬と李牧は極めて遠縁で祖父の祖父の祖父が同じ人と言うだけで…李牧に関しては、名前くらいしか知らないらしいですよ?」 韓王・安「馬鹿!私を誰だと思うておる。韓の大王・安様である!それに…李牧の名前しか知らぬなんて事はあるまい。李牧の事など赤子でも知っておるぞ。試しに韓の赤子に尋ねて見ると良い…。」 … … … 禮惷「大王様、それは我々臣下の前では構いませんが他の者の前では口になさらないで下さい。御自身で御自身に様を付けてはなりませぬ…。それに残念ながら赤子は李牧の事など知りませぬ。それこそ白い目で見られるのが関の山ですよ?」 禮惷は仕える主が暗君になりかけている…?と、言うより最早暗君と言っても過言ではないのかも知れない事に気づき更に頭を抱えてしまいました。 すると…何を血迷ったのか韓王・安は 開き直り秦の王・嬴政の名を出し… 韓王・安「嬴政だって 様がついているではないか?」 などと言い出し始めたので… 禮惷は更に頭が重くなったような 気がしました。 しかし… 韓王・安は困った性格をしており 疑問符を付けた言葉に臣下が反応しないと更に口が悪い事を告げるため、 禮惷「どこに?」 一応…仕方なく禮惷は、 反応する事にしたのですが… その答えがまさかの… 韓王・安「大王様って皆、 言うではないか?」 禮惷「…それは臣下からの呼び方であり自身では様を付けたりはしないと思いますし…現に大王様に対しましても様を付けて我らも話しております。」 禮惷の言葉に韓王・安は、 反応する術をなくした為か… 韓王・安「どうして嬴政なら皆何も言わぬのに私には好きな事ばかり口にするのだ…!」 遂にはまさかの逆ギレをする事になり また禮惷は頭を抱える事になったのでございました。 禮惷「韓の命運はいつまで持つのやら…分からなくなりました。」 李蟬「毒キノコ…要りますか?」 禮惷「味方に毒キノコを渡してどうするのでしょうか?同士討ちなど愚の骨頂ですよ?」 韓の国が制御不能なくらいの状態に陥っているまさにその頃…
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