03.

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03.

 バスを降りたときにはもう雨は止んでいた。途中水たまりに足を突っ込んでしまっても気にせず走り追いついた。  滑り台と砂場しかない小さな公園。住宅が左右にあり、公園の周りはフェンスで囲まれている。人っこ一人いない寂れた公園で、私はチナツに詰め寄った。  しかし言葉が詰まる。いざ本人を前にすると考えていたことが全部白紙に戻る。何か言わなきゃ、また逃げられてしまう。焦って思案していると、ふとチナツの顔を見て、思考よりも口が先に動いた。 「なんでバドミントン辞めたのさ」  初めに出た言葉がこれだった。  自分でも驚いた。もっと他に言ってやりたいことがあったはずなのだ。そう言えば怒りをぶつけて二、三発殴る、ぐらいはするとバスの中で思っていた。  完全に予想外だ。故に徐々に体温が高まるのが分かる。心臓が高鳴って、逆に殴られるんじゃないか心配になる。こっちが逃げ出したくなっていた。  しかし、チナツは何も言わず、ただ黙って立っていた。その沈黙が私の心配をかき消す。そして苛立たせる。 「ねぇ答えて」  私の声は辺りに寂しく響いた。  私が誘ったときは断ったのに。
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