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9ー12 妹キャラになんてならないからな!
そういえば全ての始まりは、クーノのくれたクルの実だったな。
私は、クーノを見上げた。クーノは、妙に優しい目をしていて。なんだか不覚にも胸が高鳴る。
待って、自分!
こいつは、クーノなんだからね!
ちょっと生意気なこと言ってるけど、しょせんは、ただのクーノだし!
でも。
クーノがあのとき、クルの実をとってきてくれなかったら私は、どうなっていたかわからない。
もしかしたら別の方法でこの『ヴェータ』沼を改革していたのかもしれないけど、今現在あることが全てだし。
としたら私は、ほんの少しだけクーノに借りができてるのかも。
私がそんなことを考えているとクーノがきいてきた。
「それで、ダンジョンの方は、どうなってるんだ?」
それな!
ダンジョンの攻略は、キンドさんと話し合った結果、キンドさんの部下たちにまずは任せることになっている。
なんとなく、こっちでやった方が速いかなって気はするんだけどキンドさんがそういうものだからエリクさんも同意したようだ。
こっちには神龍族とかもいるし、なんなら古代竜までいるわけだし。
ってか、レンドールさんも乗り気だし!
どうせ、攻略できないだろうから犠牲者が出る前に降参してくれたらと思っている。
でも、速くしてもらわないとレンドールさんたちが手がまわらなくなるかも。
というのも、今、神龍族は、恋の季節だから。
家を建ててるのも、街を作るためというより巣作りしてるって感じかも。
本来、神龍族は、子作りは、数百年に1度あるかないかなのらしい。それが、どうやらこの『ヴェータ』沼に住み着くことで落ち着いたからだかなんだか知らないが、急に発情期を向かえる者が増えたとか。
うん。
幸せな人が多いことは、いいことだし。
ちなみにレンドールさんも子作りしたがってるみたい。
お相手は、あの古代竜のダルメトさんというから驚きだし!
そういうことでダンジョン攻略も急いでもらわなくては、頼みの神龍族のみなさんが子育てに入ってしまう。
そんなことを考えていたらエリクさんが私の頭を優しく撫でた。
「ユイ、大丈夫。キンドは、バカじゃない。無理だと思ったらすぐにこちらに丸投げしてくるさ」
ううっ。
私は、みんなに頭を撫でられてるな!
ちょっとかわいくなったからってみんなの妹キャラになんてならないからな!
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