10 祭りの夜

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 10ー10 許してくれるだろう?  「ヘイ?」  私は、ふかふかの毛並みを握りしめてなんとか体を起こすとヘイの頭の方へとにじり寄った。ヘイは、ウルダムさんとデミルさんをロックオンしたまま、がるる、っと唸り声をあげている。  このままだとほんとに2人を夕御飯にしちゃいそうだし、私は、そっとヘイの耳元を撫でながら名前を呼んだ。  「ヘイ?大丈夫。この人たちは、私を傷つけはしないから」  私は、2人にきいた。  「そうですよね?」  2人は、青ざめたままこくこくと頭を振った。  ヘイは、2人を夕食にするのをやめるとしゅしゅしゅっと小さくなっていく。私は、地面に下ろされるとヘイを抱き上げた。  今日は、外部からお客さんが来るから私は、ヘイを部屋に閉じ込めてきたのだが、私のピンチと思って駆けつけてくれたのだろう。  腰を抜かして座り込んでいるウルダムさんとデミルさんを見下ろして私は、にっこりと笑いかけた。  「私、みなさんに守ってもらわなくてはいけないほど、弱くもないし、孤独でもないので。こうやって守ってくれる仲間がたくさんいるので心配しないでくださいね」  神龍族のみなさん、それにノマさん、クーノたちも集まってきてがやがやしたがすぐに祭りは再開された。  私たちは、再び整えられたテーブルにつく。  今度は、私の隣には、エリクさんとクーノが腰かけ、向かい合ってウルダムさんとデミルさん、2人を挟んでノマさんとルシアさんが腰を下ろす。  神龍族のお姉さんが代わりの料理とクル酒やら果実水やらを持ってきてくれたので礼をいって受けとる。  私は、肉の大きな塊をヘイにあげた。ヘイは、それを咥えるとテーブルの下へと潜っていった。  「この魔物は・・もしかして聖獣では?」  ウルダムさんが恐る恐る問いかけてきたので私は、頷いた。  「私の天使は、そう言っていました」  デミルさんとウルダムさんは、顔を見合わせて口をはくはくさせていた。  私は、2人にきっぱりと告げた。  「ヘイと私を引き離したりしないでくださいね。ヘイは、大人しいいい子だけど、怒れば何をするかわからないので」  2人は、こくりと頷く。  私は、ちらっとエリクさんのことを見た。  さっき、私に告白してました?  続きを話してくれてもいいんですよ?  エリクさんは、私にふわっと微笑みかけた。  ヤバい!  もう、これは、テロだ!  私は、眩しくて正視できずに目をそらせる。  エリクさんがウルダムさんとデミルさんに向かって話した。  「とにかく、私は、例えユイが聖女であろうとも、大聖女であろうとも手放すつもりはない」  エリクさんがふっと笑みを漏らすのを見てウルダムさんたちがはっとする。  そうだろうとも!  イケメンの微笑みは、同性おも魅了するのだ!  エリクさんは、2人に向かって告げた。  「すべてを手放した私だ。これぐらい望んでも女神は、許してくれるだろう?」    
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