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1ー12 13人の聖女たち
ルキエルは、この世界の13番目の天使なのだと話した。
『私は、本来生まれる筈ではなかった天使なのです。古来より聖女召喚で召喚される聖女は、12名。私が聖女の守護天使になることは、今までなかったのです』
ルキエルの話をききながら私は、これを以前にも私は、ルキエルからきいたのかな、とか思っていた。
それぐらいルキエルは、感情のこもらない様子で淡々と語った。
『つまり初めて私は、聖女の守護となりました。しかし、召喚された聖女は、12名の筈だったのです。聖女召喚を行った人々は、誰が、召喚されるべきでなかったのか詮索を始めました』
ああ。
私には、すべて丸っとわかってしまった。
「要するに私が余分な聖女だったってことね」
『まあ、はっきりと言ってしまえばそうです』
ルキエルが続けた。
『というか、勝手にそう思い込んだ連中がいたわけですね』
はい?
私は、意味がわからずルキエルに訊ねた。
「どういうこと?」
『ですから』
ルキエルがしれっと答えた。
『あなたは、本物の聖女なのですよ、ユイ。偽物は、王都に残った12人の中にいるんです』
マジですか?
「じゃあ、なんで私は、こんなとこにいるわけ?」
いや。
こんなとこ呼ばわりしては、エリクさんに失礼かもしれないけど、本当にここは、ひどすぎる。人間が住めるとこじゃないし。いや、住んでるけど。
『あなたをここに転移させたのは、私です』
ルキエルがあっさり白状したので、私は、じとっとルキエルを見つめた。
「本物の聖女に対する待遇じゃないんじゃね?」
『確かに』
ルキエルがなんか棒読みで語りだす。
『聖女であるあなたは、ほんとなら今ごろ、王都にある聖女の神殿で下にも置かぬようなもてなしを受けていた筈。毎日、うまいものを食べ、美しい男を侍らせ、着飾って過ごせていたわけです。実際に、あなたもこの1年ほどは、そうして暮らしてきたのですからね』
マジでか!?
私は、かっ、と目を見開いてルキエルを凝視した。
「なんで、私だけこんなとこに?」
私が本物の聖女なら、私は、優雅な生活を送れるんじゃね?
本来ならここにいるのは、偽物の方じゃないの?
なんで私がこんなとこに送り込まれてるわけ?
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