11 ダンジョンにて

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 11ー2 もう、言いません!  「無理はしないでくださいね」  見送ってくれたルシアさんが心配そうに私に言うので、私は、にかっと笑顔を浮かべた。  「大丈夫!ヘイもいるし、サクッと攻略してくるから」  私の肩にのっているヘイがにゃん、と鳴いた。クーノは、なんか不満そうだ。  「何が、ヘイがいるからだよ」  ノマさんは、朗らかに笑い声をあげながら船をこぎだした。  ところでダンジョン攻略に持っていくべき持ち物とはなんだろうか?  正直なところ、私達の中には、ダンジョンを攻略したことがある者は、いない。  レンドールさんは、若い頃、かなりならしたそうなんだが、それも数百年も前のことだし。  最近のダンジョン攻略ってどうなってるのか、誰も知らないわけ。  とりあえずレンドールさんの用意してくれた背負い鞄をそれぞれ担いで行くことになっているがそれが、ちょっとハンパない荷物で。  まあ、ほとんどはノマさんとクーノが背負うことになってるんだけど、それにしてもすごい量の荷物だし。  もしかしてレンドールさん、山登りとかと間違えてる?  というか、ルキエル、この荷物を空間収納に入れてくれないかな?  だが、うちの天使様は、ただいまストライキ中で口もきいてくれない。  もう!  何回も謝ったのに!  ルキエルなら、この荷物を空間収納に入れられるよね?  『もし、その願いを叶えたらあなたの記憶が一週間ぶんぐらい消えますよ』  突然、ルキエルの声がした。  『それでもよければ喜んでやりますが、どうしますか?』  いいです。  結構です。  やめてください。  私が断りを入れるとルキエルがふん、と鼻を鳴らしていた。ほんとに性格が悪いな。だから、みんなに嫌われちゃうんじゃないの?  『性格が悪くてすみませんね』  ルキエルが耳元で囁く。  私は、びびくっと体をこわばらせた。  「ごめんなさいっ!もう、言いません!」  「なんだよ?急に」  クーノが冷たい眼差しで私を見ている。私は、かぁっと顔が熱くなるのを隠した。  「なんでもないし!」  「居眠りか?」  ノマさんがクックッと笑う。  「そろそろ岸に着くぞ」  私は、気を引き締めようとして姿勢をただした。ヘイが膝の上で伸びをする。  『ヴェータ』沼の西側の岸が見えてくる。  いよいよ、ダンジョン攻略が始まるのだ!  
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