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11ー3 目が泳いでますよ?
『ヴェータ』沼の西の岸辺から徒歩5分ほど行くと数人の兵士の姿が見えた。そこにはちょっとした小屋のようなものが作られ周囲をキンドさんの手下たたいが警備していた。
大荷物を背負ったノマさんとクーノ、そして私が近づいていくのを見てざわめきたった兵士たちが小屋の中へと入っていく。すぐにキンドさんが小屋から姿を現した。
「来たか!」
はい。
きました。
だが、キンドさんは、私たちの姿を見るとへっと吐き捨てるように笑った。
「なんだ?その格好は?」
キンドさんが私達の周囲をぐるっと回った。
「そんな大荷物で何をするつもりだ?」
いや。
ダンジョン攻略ですけど?
キンドさんは、深いため息を漏らした。
「そしかしてお前たち、ダンジョンに潜るの初めてなのか?」
私たちは、キンドさんの質問に頷いた。それを見るとキンドさんは、またまたため息をつく。
「お前ら、ダンジョンを舐めてんだろ?」
それから、小一時間キンドさんからのダンジョン講座があった。それによるとダンジョンでは、いつ何が起こるかもわからないのでみな、すぐに動けるようにしておくべきなのらしい。
つまり、私たちみたいに大荷物ではダメなんだと。
荷物は、荷物持ちの人が持つらしい。
マジですか?
「特に、ここみたいな危険なダンジョンにお前たちみたいな初心者が挑もうなんて死にに行くようなものだぞ!」
キンドさんに言われたので私たちは、ちょっと考え込んだ。
確かに、私たちは、ダンジョン初心者中の初心者だし、キンドさんは、経験もあり、その上にこのダンジョンにずっと挑んできたのかもしれない。
だが、重要なのは、キンドさんたちがまだ、全然攻略できてないということだ。
「ダンジョンについてきかせて下さい」
私は、キンドさんに訊ねた。
「キンドさんは、どこまで進まれましたか?」
私の質問にキンドさんが目を泳がせる。
んん?
私たちは、首を傾げていた。
キンドさんたちがこのダンジョンに入り出してからもうすでに一週間以上がすぎている。なのに、なんでこの質問に目を泳がす?
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