11 ダンジョンにて

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 11ー5 生きてるか?  そこには、地底へと続く穴が開いていた。  真っ暗で何も見えない。  ただ、直径2メートルぐらいの穴がぽっかりと開いている。  キンドさんが手に持っていたなんかの魔道具を中へと放り投げるとそれは、ぽうっと光を放って中を照らし出した。  そこは、どうやら深さ2メートルほどの深さがあるようだった。私たちは、ヘイの背に乗せてもらい下へと降りることにした。  ヘイは、軽々と穴の中へと飛び込み着地した。穴の中は、2メートル四方の空間になっており、そこから横に続く空間が拡がっていた。  あきらかに何者かが手を加えていると思われるその通路にヘイが踏み込むと真っ暗だった通路に明かりが灯っていった。  ヘイは、私たちを乗せたまま通路の奥へと入っていく。  と、キンドさんがわめいた。  「ちょっと、止まれ!」  うるさい男だな!  ヘイを止めるとキンドさんがヘイから飛び下りる。キンドさんは、ナイフを取り出すと通路の土壁から赤く輝く魔石を掘り出すと私たちに見せた。  「見ろ!魔石だ!」  うん。  よく見るとその通路の壁には、魔石がいっぱいあって。  キンドさんは、興奮を隠せない様子で私たちを見上げて叫んだ。  「もう、ダンジョン攻略なんてどうでもいい。これだけの鉱脈があれば一生遊んで暮らせるぞ!」  ええっ?  そうなんですか?  私は、ちらっとノマさんとクーノをみたが、2人とも関心薄げだし。  「でも、妖精王になる筈の人が言うには、ここの番人を倒さないと鉱脈は手に入らないって」  私が言うとキンドさんがうきゃうきゃ言いながら答えた。  「そんなもの、関係ない。ここだけでも十分だ。奥までいかなけりゃ、番人も出てこねぇんじゃないか?」  そうなのかな。  私がそう思っているとぐにゃりと壁が歪んだ。  「見ろ!」  クーノが壁を指差した。  壁がどろりと溶け出して下にいるキンドさんを飲み込もうとしている?  私がキンドさんに呼び掛けようとした時には、すでにキンドさんは飲み込まれていた。  マジで?  キンドさんを飲み込んだ何かは透明でぶよぶよしているいわゆるスライムっぽいものだった。  ぼぅっと見てたらキンドさんがそれの中でなにやら苦しみだして。あっという間にキンドさんの顔色が赤黒くなっていく。  「ヤバイぞ。このままじゃ」  ノマさんが興味なさそうに他人事みたいにいうので、私は、ヘイに何とかしてもらうことにした。  「ヘイ、お願い。キンドさんを助けて!」  ヘイがやれやれというようにキンドさんを飲み込んでいるスライムっぽいものへと前足を伸ばすとそれを鋭い爪で切り裂いた。  ばしゃっと外に投げ出されたキンドさんは、控えめに見ても死にかけていて私は、ちょっとびびっていた。  「マジで、もうダメかもな」  クーノが言うので不安になった私は、思わず祈っていた。  どうか、キンドさんを助けて!  だって、キンドさんは、小悪党だけどイケオジなんだもん!  すると、ぱぁっとキンドさんの体が光りに包まれた。  洞窟内を光の玉が飛び交う。  精霊たちだ。  すぐにキンドさんは、ずるりと地面に倒れ込んだ。  ノマさんがヘイから飛び下りてキンドさんのことを覗き込んだ。  「おい!キンド。生きてるか?」  「・・んっ・・」  キンドさんが呻き声を洩らした。
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