11 ダンジョンにて

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 11ー7 慌てて食べたら体に悪いし  「なんでボス部屋で夜営?」  キンドさんがいうので私は、答えた。  「だって、ボスとか出てこないし。ここ広くて安全そうだし。これ以上奥に行ったら何があるかもわからないし」  「しかし、ボス部屋だぞ!ボス部屋!」  キンドさんがわぁわぁいうが私たちは、かまわず夜営の準備をした。ノマさんが固形燃料で火をおこす間にクーノと私でテントをはる。  レンドールさんは、調理が簡単な干し肉とかを入れてくれていたから私は、それに切った野菜を加えてちょっとしたスープを作る。最近、隣の国から仕入れた香辛料を加えるとちょっとピリ辛のおいしいカレーっぽいスープができた。  夕食は、それと持ってきた黒パンだ。  私は、まず、ヘイのためにちょっと大きめの器に入れてやる。ヘイは、猫舌なので冷まさないと食べられないのだ。  それから普通の器にいれたスープをみんなに配っていく。ノマさんとクーノは、ぺろっと食べてしまうとおかわりを要求した。  「お前たち・・」  私たちが食事をしているのをぼーっと立ったまま見ていたキンドさんが低い声を出した。  「いつボスが現れるかもわからないのに、呑気なことを」  私たちは、顔を見合わせた。ノマさんがキンドさんに応じた。  「いつ現れるかわからないんだし、今のうちに腹ごしらえしといてもいいんじゃね?」  キンドさんは、しかし、とか言いながらも諦めた様子で腰を下ろして私が差し出したスープの入った器を受け取ると食べ始めた。  スープが食べ頃になったらしくヘイがぴちゃぴちゃと飲み出した頃、私たちの背後に何かの気配が感じられて私は、後ろを擦りむいた。  そこには、牙を剥いた巨大な恐竜かなんかの骸骨がいて私たちを覗き込んでいた。  「ぎやぁあぁあっ!!」  私が悲鳴をあげるとノマさんとクーノが器を置いてぱっと立ち上がる。2人とも腰に下げていた短刀を抜いてかまえている。  キンドさんは、というと器を手に青ざめて固まっている。  ヘイは。  のんびりと食事をしていた。  うん。  慌てて食べたら体に悪いし。  
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