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1 いきなりスラムかよ?
1ー1 ドブの中にもイケメン?
次に目を開いたとき、私は、なんかの台の上に寝かされていた。
ここ、どこ?
見回してみるが、どうにも思い出せない。
だた、あばら屋としか思えないぼろぼろの天井に鼻をつくようなこの臭い。
そう、例えるならドブの中にいるみたいな酷い臭いが辺りには充満してて私は、思わずえづきそうになる。
「気がついたか?」
低いすごく耳に心地よいいい声がきこえてそちらを見るとそこには、金髪に青い瞳をしたすんごいイケメンがいた。
うん。
こんなイケメン、見たことない!
とにかくすごい、イケメン。
顔が眩しいぐらい整ってて、キレイとしかいいようがない。
長い金髪を背中で結わえているのもまた、カッコいい。
ただ。
惜しむらくはその服装。
なんか、薄汚れていて臭いし、ファンタジー映画に出てくるみたいなチュニック?に灰色のズボンをはいてる。
でも、とにかくイケメンだし!
私は、その台の上に体を起こすと座ってイケメンに訊ねた。
「あの・・ここは?私、いったいどうしちゃったんですか?」
「まず、これを飲んで」
イケメンは、私に茶色の陶器に入った何かを差し出した。
受け取ってみるとそれは、どす黒くてすごく臭い液体だった。
私は、吐き気を我慢しつつ訊ねた。
「飲むって、これを?」
「そうだ」
イケメンは、私から目を離そうとはしない。まるで、目を離せば私がその液体をどこかに捨てて飲んだふりをするとでもいうように私をじっと見つめていた。
仕方なく私は、それを鼻を摘まんで飲み干した。
うん。
涙が出るぐらい不味い。
というか、吐きそう!
それでもイケメンの視線の前には、無様をさらせないからなんとか飲み込んだ。
私がそのクソまずい何かを飲み込むのを見てイケメンは、口許に笑みを浮かべた。
いやあぁあっ!
微笑まないで!
私は、思わず眼を伏せた。
眩しすぎる!
顔面が破壊力がハンパない!
「大丈夫か?」
イケメンが手を伸ばして私の額にそっと触れる。意外とごつごつとした手に私は、びくっと体を強ばらせた。
イケメンは、私の体からすぐに手を離した。
「すまん、驚かしたか?」
ちょっとおろってるイケメンを私は、見上げて首を振った。
「大丈夫、です」
気丈に答える私にそのイケメンは、微笑んだ。
「そうか。よかった。君が突然、現れて沼で溺れていたのを見たときは、驚いたよ」
「沼?」
私がきくとイケメンが頷いた。
「そうだ。この『ヴェータ』沼に君は、落ちてきた」
「『ヴェータ』沼?」
私は、意味がわからなくてただオウム返ししていた。
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