2 聖女は、隠されたい?

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 2ー7 放っておけない  「本人が選ぶべきことなのでは?」  キンドさんが笑いを含む声で言うとエリクさんが低く呻いた。  「言った筈だ。あの子は、まだ子どもで何がいいことかもよくわかってないんだ。そんな子どもに選ばせる気なのか?」  「それでも成人は、しているんでしょう?」  キンドさんが勝ち誇るように告げる。  「彼女に選ばせるべきだ」  しばらく沈黙が続いた後でエリクさんが呼ぶ声がきこえた。  「タザキ!」  「はいぃっ!」  私は、返事をしながらエリクさんのもとへと駆けつけた。  私を見たその男は、獲物を狙う猛禽類見たいな笑みを浮かべていた。  燃えるような赤毛を腰まで伸ばした緑の目の恐ろしく背の高いイケオジだった。  私の意見としては、有りかもしれない。  エリクさんは、私の手を掴んで引き寄せるとかばうように前に立った。それを見たキンドさんが興味深そうな顔をした。  「あなたがそこまで入れ込むとは珍しい。それだけの価値がその娘にはあるということですかな?」  マジですか?  私は、きらん、と目を輝かせた。エリクさん、もしかして私のこと少しは脈ありなんですか?  というか、構図的に2人のイケメンが私を取り合っている感じ?  もしかしてモテ期ってやつですか?  ずいっとイケオジが私の目を覗き込む。  「お嬢さん、単刀直入に言おう。私のところに来ていただけるなら、出来うる限りの歓待をさせていただきますよ?」  歓待。  私は、一瞬考え込んでしまったがなんとか答えた。  「私は、エリクさんのところで暮らしたいです」  ちょっと、というかすごく惜しいかも。  もしかしたらこのイケオジのところに行けばもっとましな生活ができるかも。ちゃんとしたご飯が食べれて、清潔な暮らしをすることができるのかも。  でも、私の本能がエリクさんを選ばせた。  はっきりいってエリクさんは、貧乏だ。人の入った風呂の残り湯を再利用してしまうほどの締まりやさんだし。たぶん、生活能力も低い。  しかし!  すべてを補ってあまりあるほどにエリクさんは、イケメンなのだ。  まあ、キンドさんもイケオジだけど。ってか、この世界、顔面偏差値が妙に高いな!  イケメンは、イケオジを制す。  同じ顔がいいなら若い方を選ぶ。  というか、エリクさんってなんか危なっかしくって放っておけないっていうか。  
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