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1ー8 もったいないお化け
「ぎゃあぁっ!」
私は、悲鳴をあげた。だって、それ、私が全身を洗った後のお湯なんですけど!
その刺された男の人もなんか、傷口から泡が出てて、やばい感じ!
何反応?
すっごい泡出てるんですけど!
てか、聖水って怪我を治せるんですか?
でも。
見てる内に泡が胴体のほとんどを覆い尽くしたかと思ったら、はあはあ言ってたその人の呼吸がゆっくりになって落ち着いてきて。
顔色も良くなってきてる?
なんか血の気が失せていた男の人の顔が頬に赤みがさしてきて。
「・・兄さん、俺・・」
「クーノ!」
ここに死にそうな人を連れてきた人ががしっとクーノと呼ばれた人を抱き締める。
ええっ?
私は、呆然としていた。
なんで、あんなもので傷が治ったりするわけ?
危ないところを生き返った人とその連れのみなさんは、喜んで帰っていった。
私は、桶の中に残ってるお湯を捨てに行こうと思って桶に手を伸ばしたがその手をエリクさんが掴んだ。
「タザキ・・」
わわっ!
イケメンの顔が近い!
私は、ぼんやりとしてエリクさんのことを見つめていた。エリクさんは、私の手を握って私の目を見つめた。
ええっ?
これって、もしかして・・
告白?
フォーリンラブですか?
エリクさんは、私に告げた。
「君は、もしかして聖女なのか?」
はい?
斜め上の質問に私は、キョトンとしてしまった。
聖女?
って、それ何?
私、宗教してませんけど!
てか、実家は、真言宗なんですけど!
私の脳裏にいろんなものがよぎっているのを知ってか知らずか、エリクさんは、視線をそらせる。
「いや。言いたくなければ言わなくてもいい。きっとこんな場所にいるのだから、なんらかの複雑な事情があるんだろう。君がほんとのことを話せるようになるまで私は待つよ」
ええっと・・
私は、口をはくはくさせて何か言おうとしたんだけど何て言えばいいんだかわからなくって。
エリクさんは、私の手を離すとにっこりと微笑んだ。なんかの光の粒的なものが飛んできてまばゆさに私は、思わず目を閉じた。
ヤバいっ、目がつぶれてしまう!
エリクさんは、というと桶に残った湯をなんかその辺にあった壺だか瓶だかに詰め始めた。
私は、はっと気づいて声をあげた。
「な、何してるんっですか?エリクさん!」
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