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プロローグ
「ぎぃやあぁあああぁあっ！！」
ふと気がつくと私は、絶賛落下中だった。
全身に感じる落下時の風圧。
眼下に広がる家々。
死ぬる！
このままじゃ、死んでしまう！
私がそう思ったとき、誰かが耳元で囁いた。
『魔力を放出して！落下速度を緩めて！』
ま、魔力放出ですと？
なんだかわからないが私は、両手を地上へと向けて叫んだ。
「なんとか、なれぇっ！！！」
私の体内に熱い何かが巡り、それが両手の平から出るのがわかった。
そして。
次の瞬間、両手から大量の水が吹き出していた。
水は、私の体を空中に押し返して少しづつ落下速度が緩やかになっていくのを感じた。
だんだん近づいてくる地上に私は、何度も水の放出を繰り返した。
どうやら私が堕ちるだろう場所は、沼のような場所に家がたくさんあるところのようだった。
それが、堕ちながらもわかるぐらい臭くて！
こんなところに突っ込むのは、嫌っ！
でも、今さら落下場所を変更することもできそうにないし！
そう思っている内にわたしは、黒い沼のぬかるみの中にべしゃっと音をたてて堕ちた。
ごぼっと口の中に入ってくる水は、泥水でなんともいえないぐらい嫌な味がして。
私は、必死に空気を求めて足掻いた。
顔を泥水から出してやっと息が吸えたと思ったらまた、泥水の中に沈む。
沼に沈みながら、私は、もう、死ぬのかもと思っていた。
そのとき。
誰かが私の腕を掴むのを感じた。
その力強い腕に私の体が引き上げられる。
げほげほっと咳き込んだ私にその人は、声をかけた。
「大丈夫、か？しっかり息をしろ！」
私は、苦しくて涙が止まらなくて。
「気を確かに持て！」
声をかけながら私を船へと押し上げるその人のことを私は、一瞬だけ垣間見た。
その人は。
輝くばかりの金髪、蒼いの瞳。
あっ、イケメン。
その人は、懸命に私を救おうとしてくれていた。
わたしは、押し上げられ船らしきものの床の上へと仰向けになっていた。
ああ。
私は、咳き込みながら天を仰いだ。
青い。
それは、見たことがないぐらい青く澄んだ空だった。
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