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「そんな……私たち研究員は、気象衛星のコンピュータへのアクセス権も持っているのよ」
「でも、目に見える形で悪い結果が出たから」
その時、サクラの携帯が鳴った。表示された名前に、彼女は目を見開いた。
「お父さん……?」
電話に出ると、気象庁長官である父親、コウジの声が響いた。
「サクラ、君たちは何をしたんだね。今すぐ気象庁舎に来てくれ」
驚いたサクラはユキと共に再び気象庁へ向かった。研究所を飛び出し、急いで自動運転タクシーに乗り込む。都会の喧騒がどこか遠く感じられる中、サクラの心臓は高鳴り続けた。
到着すると、気象庁のエントランスに父親が待っていた。彼の顔には深い皺が刻まれ、疲労の色が濃かった。
「サクラ、お前たちが何をしたのか、何が起きたのか、すべて、ログを解析した。今は、宇宙人との対話が必要だ」
その表情は重苦しく、いつもの父親の顔ではなかった。
「でも、呼びかける手段がないわ」
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