雨上がりの謎

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サクラは首をうなだれてそういった。ついて来いという父親の後を二人はついて歩き、やがて、衛星コントロールルームとは別の部屋に入った。部屋の中は薄暗く、静寂が支配していたが、その中心には未来的な機械が鎮座していた。 量子コンピュータだ。それは、まるで異次元から持ち込まれたかのような存在感を放っていた。薄い金属製の筐体が冷たい光を反射し、その表面には無数の小さなLEDランプが規則正しく点滅していた。複雑に絡み合った配線がその内部へと繋がっていて、緻密に配置された基盤が微かに発熱しているのが感じられた。 部屋の壁一面には大型のディスプレイが並び、衛星から送られてくるリアルタイムのデータが流れていた。ディスプレイには、気象情報や電波のスペクトル分析結果が次々と表示され、その複雑なグラフや数値にサクラとユキは圧倒されそうになった。 「最新の技術を駆使して、衛星のセキュリティを突破する準備は整っている。宇宙人のコンピュータ言語も、解析中だ」 父親の声には確固たる自信が感じられた。
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