雨上がりの謎

18/19

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
『我々は気象実験を地球で行っていた。雨を降らせることに失敗して、大雨が降り続くようになったが、雨を早期に止めることはできるようになった』 サクラはすぐに返信を送った。 『やっぱり、地球を利用してたのね』 しかし、宇宙人からの返信はそれを否定しなかった。 『お前たちのプログラムは素晴らしかった。プログラムが完成してから、説明するつもりだったが、最初から共同研究をしていればよかった。すまなかった』 サクラは、自分の推測をぶつけた。 『あなたたちの星が地球と似ているから、自分の星のために地球を実験場にしたの?』 すると、すぐに短い返事があった。 『地球のデータを送るから見て欲しい』 宇宙人から送られたデータを見て、サクラたちは驚くべき事実を知ることとなった。実は、宇宙人が行っていた気象コントロールの実験は、地球の未来にとって重要な意味を持っていたのだ。 「サクラ、これを見て。宇宙人が送ってきた新しいデータよ」 ユキは興奮気味に言った。彼女の目は画面に釘付けで、その声には震えが混じっていた。 「これは……気象予測データ?」 サクラは驚きの表情を浮かべ、ユキの隣に駆け寄った。サクラの心臓は早鐘のように打ち始め、手が震えた。 ユキは画面を指差しながら説明を続けた。 「そうよ。そして、このデータによれば、地球はどんどん異常気象の波に飲まれて、人間が生きていけないほど急激に悪化する。宇宙人の実験は、地球を救うためだったのよ」 サクラの顔から一瞬で血の気が引いた。地球代表とも言える立場でありながら、とんでもない無礼を働いたのだ。 サクラは震える手でデータをスクロールしながら、ユキの言葉に頷いた。 「後で謝らなくちゃ。そして、この技術を世界各国に広めよう」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加