雨上がりの謎

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「さっきね、気になるデータを見つけたの。雨上がりの空に観測される特殊な電波について、もっと詳しく調べたいんだけど、手伝ってくれない?」 「もちろん!」サクラはうなずいた。「それ、実は私も気になってたの」 二人はそれぞれ、別行動でデータを精査し、解析を進めた。 翌朝、サクラのスマホが振動した。ベッドから手を伸ばし、スマホを手に取ると、ユキからのメッセージが画面に表示されていた。 『電波は気象衛星から出ている』 短いメッセージにサクラの心臓が一瞬止まりそうになった。彼女は急いでユキに電話をかけたが、何度かけても応答がない。不安が胸を締め付ける中、サクラは急いで身支度を整え、研究所へ向かった。 研究所に着くと、ユキの姿が見当たらなかった。通常であれば、朝早くから来ているはずのユキがいないことにサクラはますます不安を感じた。 サラに電話してみようとサクラは思った。サラはユキの妹で、サクラは三人でよく食事をともにしていた。 「サクラさん、何かあったんですか?」 「サラちゃん、ユキがどこにいるか知らない?」 「お姉ちゃんは、研究のために家に帰らないことが多いんです。昨日も帰ってないんで、研究室だと思います」 妹を心配させてはいけないと感じたサクラは、務めて平静を装った。 「そうなの。ありがとう」
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