雨上がりの謎

ユキの研究室のドアを叩いても返事はなかった。サバサバとしたユキは、サクラの研究室にノックなしで入ってくる。サクラもそうしなよと、ユキは言うがそんなことはできなかった。返事がないので仕方なく開けると、独特の科学機器の匂いが鼻をついた。

ユキの研究室は、壁一面にホワイトボードが設置され、その上には複雑な数式やグラフがびっしりと書かれていた。机の上には乱雑に積み重なった書類やデータシートが散らばり、その間に置かれたノートパソコンが微かに光を放っていた。

研究に没頭するユキの姿が浮かんできて、サクラは胸が締め付けられる思いだった。
「私が寝ている間も続けてたんだ」

サクラはユキのデスクに近づき、机の上に置かれた日誌を手に取った。表紙にはユキの筆跡で「研究日誌」と書かれている。彼女は深呼吸をし、慎重にページをめくった。

最初の数ページには、日常の観測データや簡単なメモが記されていた。しかし、次第に内容は専門的かつ緊迫したものになっていった。