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革命の序幕
寒さの和らぐ季節。北の大地に一つの国家が産声を上げた。
札幌の遥かに北。列島では、本州・北海道に続いて3番目に大きい島。この『樺太』から、新しい時代の幕が開かれつつあるのだ。
極京と改められ、この国家の首都とされたユジノサハリンスクで開かれた国家創設記念式典。
街の広場に大勢の民衆が集まり、そして見守る中で国家元首は姿を見せた。
まだ若く大学生にも見える彼は、しばらく沈黙を保ってから口を開く。
「皆!話がある!!世界が1つにまとまり、平和を体現したこの地球。その中で、俺の母国の日本は唯一の内戦国となった。
日本はかつて、アメリカや中国と肩を並べて、世界を引率していた時代もあった。だが今では、かつて発展途上国や独裁国家など言われていた国々からも、天と地の差をつけられるほどに荒廃してしまった。
数々の溜まりに溜まった社会の膿。それが引き金となり起こった先の革命とその終焉。地方に強い指導者が現れ、荒れ狂う列島。
俺は、このまとまりを失った国を統一し、また世界と肩を並べ、新しい時代へ飛び込んで行ける国にしたいと考えている!!長い戦時下に置いてしまう事を大変心苦しく思う!だが、どうか俺についてきて欲しい!」
若い国家元首がそう語ると、日本人、ロシア人、アイヌ人、その他多くの顔ぶれの民衆は、歓声を上げた。その光景は、新しい日本の夜明けに相応しいものとなった。
式が終わり、国家元首が会場を後にする。付き人とともに車に乗り込むと、彼は宮中へ帰路に着く。
「陛下、新国家樹立から5年。ついに日本国再統一へ向けて動き出す時が来ましたね。」
国家元首となった俺は、車窓から見える町並みを眺めた。
最果ての首都は、5年間で目覚ましい発展を遂げていたが、これは新たに始まる時代への第一歩にすぎない。
「スタートラインに立ったばかりだ。」
付き人は、そんな俺を畏敬の視線で見守っている。
「これからが本当の戦いなんですよね...。」
そう、俺の目標はまだ先にある。この国の統一という一大事業。そして、そのさらに先に...。
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