Epilogue Star

2/2
前へ
/6ページ
次へ
頬に当てられた手は少しだけ震えていた。 星を探すより先に、星より近い千隼を見ていた。 眼鏡が外れたままの彼は説得力が欠けるくらいの童顔で。真面目で。優しくて。 わたしは彼の眼鏡を直しながら「ありがとう」って泣き笑いした。 「どうして“愛しい人”って増えていくのかな……」 ポツリ 独りごちる 「星が増えていく理由と同じじゃないかな。星の原理も、人も、バランスを保とうとするからね」 やっと安定する、彼の撫で肩にエコバッグ。 千隼は左手の薬指に嵌る指輪を星空に翳した。 「薫さーん、今夜は出会えますか?」 わたしの愛する人は"ゲームは続けるべきだ"と今も変わらず微笑みながら言う。 遥か遠くを眺めて、8年も、きっとこれからも……“星”を待っている。(終)
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加