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「俺もう、どうしていいのか、わからなくて」
「そうか。
つらかったね」
そう声をかけられた途端、つーっとなにかが俺の頬を伝い落ちていった。
「えっ、あっ、その」
慌てて頬を拭い誤魔化そうとするが、それは次から次へと落ちていく。
「ほれ」
カウンターを回ってきた店主が、箱ティッシュを渡してくれた。
「……ありがとう、ございます」
それで涙を拭い、最後に鼻をかむ。
気持ちを吐き出して泣いたせいか、気分は少し落ち着いていた。
「……すみません、なんか」
見ず知らずの彼にこんな姿を見せたのがみっともなく、小さく詫びを入れて皿洗いを再開した。
店主は置いてある椅子に座り、俺を眺めている。
「いらない世話かもしれないけどその会社、もう辞めたほうがいいよ」
「でも……」
彼が言うのは正しいとわかっていた。
でも会社が、あの上司が辞めさせてくれるとは思えない。
それにこんな冴えない俺を雇ってくれる会社があそこ以外にあるとも思えなかった。
「なにか辞められない事情でもあるの?」
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