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たった今、知り合ったばかりの俺にここまでする義理はない。
店主も、町谷さんもだ。
「袖振りあうもなんとかっていうし。
気にしなくていいよ」
「そうですよ」
うんうんと店主も町谷さんも頷いている。
「それに彼には手付け料で、こうやってごはん食べさせてあげるし」
店主が町谷さんの目の前に置いたのは、ハンバーグにナポリタン、エビフライがご飯とともにワンプレートにのった、大人のお子様ランチというべきものだった。
さらに山盛りのポテトサラダまで添えられている。
「もう、こんなの食べさせてくれたら頑張っちゃうよー」
ほくほく顔で町谷さんがスプーンを取る。
本当にいい人たちで、胸がじーんと熱くなった。
「俺のためにありがとうございます」
精一杯の気持ちで頭を下げる。
俺にはそれしか、できなかった。
「いいって。
きっとこれも、なにかの縁だしね」
器用に店主が、片目をつぶってみせる。
それは酷く不器用で、つい笑っていた。
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