第二章 昔飼っていた犬

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さらにスモークベーコンの入ったポテトサラダが添えられているとか反則だろ、もう! 「そーだろー、そーだろー」 俺の感想を聞き、大橋さんが得意げに頷く。 彼は料理上手で、とにかくこの店の料理はなんでもうまかった。 そのせいか朝は遅めのモーニングタイムを決め込む老人で、昼は近所で働く人たちでいっぱいだ。 「ごちそうさまでした!」 今日も山盛りご飯とともに料理を完食し、手をあわせる。 「じゃー、今日も頼むよー」 「うぃーす」 食べ終わった食器を持ち、カウンターの中へと入る。 もう俺専用となっている黒エプロンを着け、袖を捲ってシンクの前に立った。 食べさせてもらっている身なのでランチタイムが終わる頃に来るようにしているが、その頃には洗い物が山積みになっている。 「いい加減、食洗機の修理業者、呼んだらどうですか」 こんな状態で今までどうしていたのかと思ったら、一ヶ月ほど前に食洗機が故障してしまったそうだ。 それで手洗いしているらしいが、この店は大橋さんひとりで切り盛りしているので、まったく手が回っていない。 「そしたら陽一(よういち)くん、ごはん食べられなくなるけどいいの?」
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