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僅かに頬を赤らめ、恥ずかしそうに大橋さんがぽりぽりと人差し指の先で頬を掻く。
その姿を見て俺のほうが恥ずかしくなってきた。
この人はもうすぐ還暦だなんて思えないほど、ときどきこういう可愛い姿を見せてくるから困る。
「いただきます」
とりあえずひとくち、ケーキを食べる。
タダのチョコレートケーキかと思ったら、中になにか入っていた。
少し酸味のあるこれは林檎か?
それがいいアクセントになっていて、美味しい。
「美味しいですね!
特に、林檎が入ってるのがいいです!」
「よかったー」
そんなに自信がなかったのか、ほっと大橋さんは胸を撫で下ろしている。
「林檎をたくさんもらっちゃってさ」
彼がちらりと視線を向けた厨房の隅には、林檎が入っているであろう、大きな箱が置かれていた。
「アップルパイやタルトタタンじゃ芸がないだろ?
だからこういうのはどうかなって作ってみたんだけど、よかったみたいだね」
うん、うん、と勢いよく頷いた。
チョコレートと林檎がよくマッチしていて、さらにコーヒーにあう。
この組み合わせは正解だ。
「じゃあ、明日から出そーっと」
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