62人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
俺からいい感想がもらえ、大橋さんはうきうきだ。
そういうところ、本当に可愛いと思う。
自分が食べた皿はもちろん、洗って帰る。
「これ。
よかったら持ってって」
洗い物が終わり、エプロンを外した俺に大橋さんがレジ袋を差し出してきた。
「えっ、いつも悪いです!」
「いいから、いいから」
断るが、にこにこ笑って有無を言わさず、さらに押しつけられた。
「じゃあ、ありがたく」
受け取った袋を少し上げて、彼を拝んだ。
中にはパンとウィンナー、バナナが入っている。
大橋さんはこうやって、なにかといろいろ俺にくれた。
「明日もよろしくー」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
俺が店を出るのと入れ違いで、サラリーマンが入っていった。
「いらっしゃい」
ドアの隙間から僅かに、大橋さんの声が聞こえる。
ちょうどいいタイミングだったのかもしれない。
「帰ったらもう少し、頑張ってみるかな」
早く就職を決めて、大橋さんに喜んでもらいたい。
そう思っていた。
それからもほぼ毎日、店が開いている日は皿洗いにいった。
最初のコメントを投稿しよう!