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第三章 パートナー
「また、落ちました……」
今日も今日とて俺は大橋さんの店のカウンターに突っ伏している。
人手不足で売り市場なんていうのは、ただの噂なんだろうか。
「まあそう、落ち込まないでよ。
面接にいけただけ、いいじゃない」
「……そうですね」
大橋さんが置いてくれた水を飲む。
コツが掴めてきたのか、面接に進める率は上がってきた。
が、その面接で緊張してとちってしまう。
だからなかなか職が決まらず、あんなブラック企業に勤めていたんだよな……と、遠い目になった。
職が決まらない一因に、もしここが前職のようにブラック企業だったらと二の足を踏んでしまうのもある。
そんなわけで俺の就職活動は難航していた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
今日のランチはメンチカツだった。
ランチに揚げ物が多いのは、準備しておけば揚げるだけで済むから楽なのらしい。
「うまいです」
「そーだろー、そーだろー」
得意げに大橋さんが頷く。
箸で切ると一気に肉汁が溢れてきた。
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