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なんとなく親から受け継いで若い頃からやっているようなイメージがあったので、思ったよりも短い。
「さっき、残されたレシピとか言ってましたけど、誰かからこの店を引き継いだとか……?」
「違うよ。
ここはしばらく空き店舗になっててね。
そこに僕らが入ったってわけ」
「僕ら……?」
繰り返した俺の声を聞き、失言に気づいたかのように大橋さんははっとした顔になった。
「ほら、のんびりおしゃべりしてていいの?
今日は午後から面接、あるんだろ?」
「そうでした」
慌てて止まっていた手を再び動かす。
先ほどの大橋さんは笑って取り繕っていて、それ以上は聞けなかった。
「一度会って詳しい話を、か」
メールを確認した携帯を適当に置き、ベッドで大の字になる。
嬉しいはずなのに高揚しないのはなんでだろう。
それどころか、がっかりさえしていた。
「これで就職が決まれば、いいんだよな」
それでいいはずだし、目指していたはずだ。
なのに今、こんなに心がもやもやとする。
もちろん、今日も大橋さんの店に行く。
「こんにちはー」
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