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「就職諦めてバイトでもいいかな、って。
ほら、コンビニとか飲食店のバイトなら、いつも募集してますし。
それなら時間の融通も利きますから、ここで皿……」
そこまで言って言葉が途切れる。
大橋さんが今までにない厳しい顔で俺を見ていた。
「それは逃げてるだけだよ」
彼の言葉がずしんと俺の腹に落ちてくる。
「就職活動が上手くいかないから、楽なほうに逃げようとしているだけだ」
違うと言いたいけれど、声が喉で引っかかって上手く出てこない。
「若いから今はいいかもしれない。
でも、年を取ったら?
最近は働き方もいろいろだし、こういう考え方が古いのはわかってるよ。
けどね、僕は陽一くんに後悔しない選択をしてほしい」
大橋さんはどこまでも真剣で、それだけ俺を思ってくれているのはわかった。
それに、彼が言うのはもっともだ。
会社員に比べ、バイトは保証が薄い。
退職金はないし、年を取ったら大変だろう。
――しかし。
「俺、は」
別に就職したくないわけではない。
ただ、大橋さんとのこの時間をずっと続けていたいだけだ。
この時間を失うのなら、職になど就かなくていい。
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