第三章 パートナー

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俺は間違っていない。 「まー、またブラックじゃないかって不安はあるんですけど」 コーヒーのカップを口に運びながら、はははと乾いた笑いが口から落ちていく。 「どこの会社?」 「乾設備さんです」 「ああ、あそこ」 彼の口ぶりからして、知っているんだろうか。 「うちの食洗機とかのメンテしてもらってるよ。 担当さん、感じいいし、少なくとも前の陽一くんみたいな顔はしてないから、大丈夫じゃないかな」 比較対象が以前の俺なのがちょっとあれだが、だったら大丈夫……かな。 「まあ、話を聞いてみて決めたらいいんじゃない? 無理そうなら断ってもいいんだし」 「そうですね」 別にこれで決定ってわけじゃないんだし、来週行ったときによく見極めてこよう。 今日は皿を洗っていたらドアベルが鳴った。 「かずさん、まだランチあるー?」 ひょっこりと顔を出した町谷さんは真っ直ぐにカウンター席に座った。 「もうランチの時間、終わったんだけど?」 ちょいちょいと壁に掛かる時計を大橋さんが指す。 時刻はすでに二時を回っていた。
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