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「透明少女。」
気温36℃、バカみたいに暑い。
私が幼い頃暑いと暑いと喚いていた温度より6℃も高い。
どうやら私が冬にいる間に、国が変わったみたいだ。
脳が沸騰する、だからか普段不細工に見える男も、
そう思って3歩、やっぱり近くからよく見れば不細工だ。
こんな奴と細波が聞こえる砂浜、夕日の沈む地平線を見て
綺麗だねなんてハモる様に言って微笑み合って「俺たちどこか似ているね」
なんて言われた日には、自分の顔を疑いたくなるだろう。
あーどうして隣のクラスにはイケメンがいて、このクラスにはいないのだろうか。
汗臭いだけの坊主と、性欲が身体からはみ出ているとしか思えない
すけべ顔クソ担任、私はつくづく運がない。
あーもう何もかもがめんどくさいな、もうすぐ生理の日来るし、
今日は恒例のカウンセリング、なぜなら私の家庭事情を聞いた
性欲教師が、少しでも話聞いて貰えば?きっと気分がすぐ楽になるから。だって、
うるせえーよ。薬の試し打ちじゃねーんだぞ。
そっかあ、早く良くなるといいね。
そうだよね、でもきっと。
顔色良くなってきたんじゃないか?
心配してくれてありがとう!それ以上は喧しいだけだ。
もうあれだ、今日は抜け出しちゃうしかないな。
うんよし、決めた。昼だけ食っていつの間にか消えちまおう。
よし時はきた胃も満ち満ちたし、いざ。
携帯を取り出し、ワイヤレスイヤホンを装着、
こんな時に流すのはやっぱり「IGGY POP FANCLUB」だろ。
このノリノリのギターが合図だ。
私は堂々と鞄を持って、下駄箱までノリノリで走って
靴を履き替えていたら、変態教師のお出ましだ。
何か言ってる、しかもデカい口で。
まいいか、なんて思ってると。腕を掴もうとしてきたけど何とか解いて、
また走った。先生も私を追ってくる。
ヤバい楽しい!割と足が速い私は校門まで直ぐに到着、
先生は喫煙者なもんだから私が校門を跨いでるくらいにやっと到着、
息を切らしているのがよくわかる。私は校門のてっぺんから地面に着地する時に
少しスカートが捲れた気がした。
校門越しに先生の顔を見ると、何処か鼻の下が伸びている。
バカみたい「先生ちょっと来て」そう言って手招きをすると
チラチラ後ろを見渡し近寄ってきた、何期待してんだか。
「今スカートの中見たでしょ、」
「い、いや風で捲れてだろう見たくてみた訳じゃ、」
さらに私は手招きしてほとんど耳うちの距離で、
「先生、マジキモい」
そう言って笑いながら牢越しの野郎に
中指を立て、「バーカ」そう言って走った。
クソ暑い、クソみたいな毎日、私はこの日々が大っ嫌いだ。
でも次に流れたこの曲は、こんな明日死ぬつもりの私を歌っているようで、
何処か爽快であり、同時に頭の中にアルコールでも注がれているみたいだ。
「はあ、明日死ぬには勿体ないな」
明日の今頃は私は透明少女、そんなあの子になるのかな。
蝉がうるせえ。
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