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青い鳥
どうしてもあなたに届けたいの。
だって、あなたったら私の想いを伝える前に部長のお嬢さんとの結婚を決めてしまったんですもの。
同じ部署でずっと一緒に仕事をしてきたのに気付いてもらえなかった。
ううん。私が伝えなかったのがいけないんだわ。
ほら、私といつも一緒にいてくれる幸せの青い鳥。
この子が私の想いを届けてくれるはずなの。
でも、思いがかなわなかったら青い鳥は二度と私の元には戻ってこない。
空に帰って行ってしまうわ。
うん。解っているけど私はどうしても伝えたいのよ。
一生に一度だけ、自分の願いをかなえてくれる青い鳥を、この望みのない告白に使っても後悔しない。
青い鳥がいなくなったら、私には二度と幸せはやってこない。
後の人生はどんどん不幸になって行くだけ。
きっと会社も首になるんだろうなぁ。
でも後悔しない。
あなたにこの想いを伝えないでいても、幸せは来ないと思うから。
そんな思いで青い鳥をあなたの元に送ったのに、私の青い鳥は迷子になったふりをして思いを届けずに私の元に帰ってきたわ。
そうね。青い鳥は一人に一羽生まれたときに天から与えられるの。
不幸になるとわかっている願いを届けるわけがないわよね。
青い鳥には不思議な力があるから、この想いを伝える事には意味がないことを分かっていたのね。
うん。私、前を向こう。
きっと思いを届けられる人が現れる。
青い鳥がちゃんと想いを届けてくれる人がいつか現れるはず。
その時こそ、私の想いを きっと 届けたい。
【了】
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