side ⑫

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二見はベッドサイドのランプの灯りをつけた。ベッドの辺りだけが照らされて、二見の顔がうっすらと見える。 「和也の居場所はどこ」 俺はそれだけが知りたい。何をするかわからない二見に付き合っていられる余裕はなかった。早く和也にあって、こうなってしまった理由を...... 二見はこちらをじっと見て、「知らんよ」と吐き捨てた。 「ボク、ミヨシのことなんて知らん」 こいつは何を言ってるんだ。確かに和也は二見のことを友達と言っていたはずだった。二見はきっと俺に嘘をついているのだと思った。俺を和也に近づけないようにするつもりなのだろうと。 「どうして!? 本当は知ってるんだろ!? はやく! はやく教えてよ!」 思わず声が荒ぶってしまう。久々に出した大声は細い喉を抉るように掠れてしまった。 「ボクが知っとるのはひとつだけや....」そう言って、変に冷静な表情で、纏っていた服を1枚1枚脱いでいく。そうして外気に晒された二見の肌は、見た事のない量のピアスが全身に埋め尽くされていた。 「これな、全部ミヨシがやったんや」 二見の傷だらけの身体を見て、(むご)い、その一言が真っ先に思い浮かんだ。二見はこちらに近づき、俺の手を取って自分の胸に当てた。釘のようなピアスが刺された二見の胸の突起は、冷たい外気に触れ、ぴんと勃っている。 「ほんまに酷い男やと思わん?」 俺に何かを懇願するかのように二見の黒い瞳が潤み、今にも崩れてしまいそうな笑顔で笑っている。 「和也が......そんなことするはずない」 俺は二見の言葉が信じられなかった。だって和也はみんなに優しくて、何より俺を1番に愛してくれる。俺に対して見返りを求めない優しさの塊のような人間だ。和也は誰よりも清く正しい聖人なんだ。そうだった... 「信じられへん? そっかユウくんは知らんもんな」 呆然と立ち尽くす俺の手を二見が強く引いた。二見は白く長い指を俺の指と絡ませ、俺はそのままベッドに押し倒された。二見は俺の上に跨り、俺の服を丁寧に剥がしていく。頼りない光に晒された俺の身体を見て、「綺麗やなぁ」と言った。 「心底羨ましくて、心底可哀想や」 二見は露になった俺の鎖骨に、ガブリと齧り付いた。 「あ゙っ、いったぁっ!」 指先が痺れるほどの痛みが走る。身を捩る俺の顔を掴んで、二見はまた脆く笑っている。 「知っとる? ミヨシのセックスは凶暴なんや」 痛みで目に涙が滲む。歪む視界の中で、 二見の頬にも同じように雫が伝ったのを見た。 その雫が二見の肌を滑り落ち、俺の鎖骨につけられた歯型に浮かぶ血と混ざりあった。 「知りたない? ミヨシの欲望(セックス)を。ボクなら教えてあげられる。やからなぁ......」 「ボクにも教えてくれへんかなぁ? ユウくん......」 触れるシーツから微かに香る和也の匂いが、俺の思考を沼に突き落とす。
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